10月25日に来日され、11月11日に帰国された、臨床心理士の中川郷子博士に同道して外国人(特にブラジル人)集住地区を回る機会を得ました。
移動する子どもたちの大変さを再認識させられたツアーでした。
日本の国内でさえ引っ越したら文化の違いに驚かされ、大人でさえストレスを抱えてしまいます。
引っ越しをプラスにできる場合もあるかもしれませんが、子どもの場合は友達もできず、方言をからかわれ、教師の教え方の差に戸惑ったりして成績も落ち、登校拒否になったりすることになるケースが多く見られます。
それが、国境を超える場合には、その文化の違いは計り知れないストレスを子どもに与えるであろうことは容易に推察できます。
臨床心理など全くの門外漢ですがそこでの耳学問を自分勝手に解釈したものの一部を書いてみました。
間違っているかも知れませんが、ご参考まで。
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■ 日本とブラジルの文化の差:あなたが悪いのではない
中川さんは
「日本人の謙譲の心などは素晴らしいものであるし、日本では、それは必要なことは分かっている。しかし、ブラジルでは譲ってばかりいては認められないし貧乏くじを引いて、損をしてしまう恐れがある。」
と説明されました。これに対して現場の先生方から
「これまでの教育が間違っていたのではないか」
との嘆きに近いお話を伺いました。
しかし、日本で教育する場合に外国に合わせた教育はあり得ないと思いますので、現場では、日本的に協調的自己観をベースとして、これまでの通りやる以外にないと思います。
但し、日本のやり方がすべてではないことを教師自身が常に反芻し、子供たちに都度話しておくことは必要です。
中川さんが挙げた例の一つが「ピアス」。
私自身の娘もドイツで二歳の時にピアスを付けました、日本に帰ってからはしていませんでしたが・・。
ピアスをすることは悪いことではありませんが、日本の学校では許していないので学校ですることは認められないということです(ピアスがいけないが同課の議論はここでは触れません、それは別の機会に)。
TV番組に「ケンミンショー」という日本の地域ごとの習慣の差を面白おかしく取り上げる番組があります。そこで示される習慣の違いには驚かされることがしばしば。例えば、ご飯に「あんこ」を乗せるようなことが出てきますが、それは他の地域からすると信じられない光景かも知れませんが、それは「悪い」のではなく「習慣の差」なのです。
学校の現場では機会あるたびに考えの違い、ルールの違いがあることを教えることが、広い心を持ち、違った世界に行った時にもその差を埋める力が付くのではないでしょうか。
「君が悪いのではない。この世界では許されないだけだ。」と本人を否定するのではなくその行為が許されないことを明確に区別することを機会ある毎に教えることで、自尊感情を失わせないようにすることが必要だと思います。(「だから外国人は・・・」「いけないって言ってるでしょ!」などと言わずに)
これには、先生方自身に外国の事情をみて、違う世界を覗いて頂く必要があるのではないでしょうか。
■ブラジルについて知ろう
ブラジルに帰国(または初めて移住)すると聞いた途端に、喜ぶ子もいますが、全くやる気をなくしてしまった、という報告も聞きました。
ブラジルの治安の悪さ、貧困層の多さなどを、繰り返し保護者や影響力の強いマスメディアなどから聞かされているのもその一因ではないでしょうか。
GNPが世界で7番目に躍進した国・ブラジル。日本はブラジルから旅客機を購入するほど技術的・工業的にも進んでいる国ですし、豊かな自然に恵まれた広大な土地を持っています。そのことを、もしかしたら保護者より影響力のある、教師から話をして自信をつけさせたり、場合によってはブラジルについて教室で発表してもらうのも良いかも知れません。
帰属している集団をひいき目で見るのが常です。帰属先が変わるのにそれが悪いものだと言われていれば気持ちも萎えます。
これも学校でできることでは無いでしょうか。
■ はだ色廃止!
もう一つ、同じ話題で:
今回、いくつかの保育園、託児所を拝見しました。
日本の子供たちがあまりにお行儀がよく静かなのは日本的なのかな、と思いましたが、その子供たちは表情に乏しく、一瞬ホスピタリズムかと思うほどでしたので、どきっとしました。
大使館のある方はブラジル人学校に通っているブラジル人児童生徒でさえ表情が暗いと言っていました。何が違うのか・・。均一化が日本の世界に蔓延しているのか。
また、保育園の園庭が小石が敷き詰められているのに、茶色を使って同じような絵を描く子どもたちがいたことも驚きのひとつ。本当はグレーはずなのに。
また、この頃は少なくなりましたが、「はだ色」が含まれているクレヨン。
いろいろな国から人が入ってきている日本では白も黄色も黒も肌色です。
「これはxxx色、xxxはxxx色」という決めつけから解放させましょう。
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子供たちにもっと自由にさせることが移動した場合にも耐える力を養えるのではないのかな、との感想です。
当たっているかな・・。
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