2012/06/06

文科省 : 障がいのある学生の就学支援に関する検討会(長文です)



本日開始された「障がいのある学生の就学支援に関する検討会」を傍聴しました。
拙速でまとめてみました。長文になりましたが、ご参考まで投稿します。
一緒に出席された方から追加・修正があれば追ってお送りします。

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資料、議事録は後日掲載される予定です。
今回は大学の関係者の方が多く、障害のある方はお一人でした。

高井副大臣からの冒頭の挨拶、会議後の坂東局長、松尾課長のお話からも、文科省としてこの分野が遅れていることを問題視し、スピード感を持って進める意欲を感じました。
アメリカから20-30年、欧州からも10-20年遅れているとのことですが、今回の検討会を「今頃になって」という批判でなく、具体的に始まったので今後の施策に反映できる様な結果に繋がることを期待したいと思います。

1)今後の進め方
6月中に(本日を加え)2回
7月中に2回
8月上旬に取りまとめ
というスケジュールになっています。

2)アメリカは障害のある学生の割合は全体のうち10%であるが日本は0.3%(リピート 0.3% で間違いなし)!
これはADA(Americans with Disabilities Act of 1990)「障害を持つアメリカ人法」がしっかりと実行されていなければ訴訟される恐れもあるからコーディネータなどしっかり置かざるを得ないという、差から起因しているという要因もありとの説明。それだけではないと思いますが・・。

3)議論はこれからされますが、本日出された諸問題は主に下記の様なものです。
(少し端折りました)

A)・小中高から大学へのシームレスな支援体制の確立の必要性。
・高校教師が世の中でどのような支援があるか理解しておらず、障害学生が受験を諦めているケースもある。一方、本年度初めてLD生徒の受験が出来たケースもあり。
(*まだ調べていません)

B)大学入学前の問題
・現在ベースとなっているセンター試験の「合理的配慮」で良いのか。
(*合理的配慮の定義は一番下に書きました。)
・合理的配慮が入試という競争の中ではそぐわない部分もあるし、逆差別にならないかという危惧もあり。
・困難さを基準に「合理的配慮」を行うべきとの意見があるが、その判定の合理的な、客観的な基準を作らねばならない。
(*SR(社会的責任)上、説明責任を果たすことは当然なので難しいところですね。) 

C) 入学後の問題
・通学、学内介助は障害者支援の対象とならない。
・講義を学生が書いたもので支援しているが、情報量が口頭と比較にならないほど少ない。学べる量も当然少なくなる。
・大学のレベルを扱える手話通訳は少ない。育てる必要あり。
・ところが専門家の待遇は低い
(*日本語教師と同じ?)
参考:
業務の中で障害学生支援に関わる業務量の割合が7割以上(つまり実際に動いている人たち)の給与は130万円以下がもっとも多い
N=51に対して
130万円以下 13 つまり25%
また、
300万円以下 34 つまり66.7%
・給与の低さも問題だが、大学での地位の低さも問題。
(*外国人児童生徒をみている方々と同じ)

http://www.tsukuba-tech.ac.jp/ce/xoops/modules/tinyd1/index.php?id=179&tmid=292
46ぺージ

・ハードをバリアフリー化するために多額の資金を使うか、現状を少し手直しし、人手でケアをするか(ソフトで)どちらにしても金は必要。大学に負担の少ない方法は?

・ITでの支援の方法の検討
・放送大学は発達障害やアスペルガーなどの受け皿になりうる。

D) 卒業前段階
・出口の問題(*これも日系人に対する日本語教育も同じ)。
・仮に大学まで出てもその先、就職はどうなるか。就職できなければ高等教育を施す意味がない。
(*これには異論あり。健常者も同じだし、高等教育の場は、職業学校ではない。)
・就職が出来なければ、日本学生支援機構の奨学金を8万円の障害年金から支払わなければならない。(*現実的)
・一方、障害者雇用はこの8年ほど、リーマンショックや震災の影響があったにも拘わらず、順調に伸びている。更に、この度、民間企業の障害者雇用率を2.0%に引き上げることになった。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002b4qy.html

E)その他
�私学の場合の問題点 
国からの私学支援のうちどのくらいを障害学生のために使うのか分からない。現在は健常者の学生の理解を求めて学校の運営費から捻出しているが無理がある。
大学の建物が公共の場ではないのでハートビル法の適用を受け無いため、これも積極的に取り上げることが難しい。
で、外から決めてほしいとのニュアンス(決めると自由度は少なくなるが)

�・障害学生の受け皿となる組織を確立する必要あり、との指摘がある一方で、障害学生センターの孤立もありうるとの危惧。
(*小学校の国際担当の先生のようですね。)
・学内の組織の確立が必要だが、それだけではだめで、地域の支援が無ければ進まない。

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合理的配慮:(配布資料から)
「障害のある子どもが、他の子どもと平等に「教育を受ける権利」を享有・行使することを確保するために、学校の設置者及び学校が必要かつ適当な変更・調整を行うことであり、障害のある子どもに対し、その状況に応じて、学校教育を受ける場合に個別に必要とされるもの」であり、学校の設置者及び学校に対して、体制面、財政面において、均衡を失したまたは過度の負担を課さないもの」

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