支援団体「独自の連絡網必要」
東日本大震災で、富山県内に住む日系ブラジル人ら外国人は「言葉の壁」から、震災や福島第一原発事故の状況が正確に理解できず、不安を募らせた。日系ブラジル人の支援団体「富山日伯交流友の会」(同県高岡市)の木口実会長(41)は「震災の時に携帯電話や電子機器に頼らないネットワーク(連絡網)の必要性を痛感した」と話している。(飯田克志)
「『富山の水も汚染され飲めなくなった』といううわさがSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス=会員制交流サイト)で広がり、私が『安全』と書き込んで何とか止めた」。木口さんは震災直後の混乱した在日外国人の様子を振り返る。「テレビの緊急地震速報で、富山県の文字だけが分かって、同じような大きな地震が起きるとパニックになった人がいる」とも。
同県内市町村で最多の約千四百人の日系ブラジル人が住む高岡市。木口さん自身、ブラジルから移住し同市で暮らして二十一年だが、「ふだんの生活で使う言葉と、震災でテレビなどが使う言葉は違うので、私でもすぐに分からないことがある」と指摘。言葉の壁で、在日外国人にとって状況の把握の難しさが浮かび上がる。
実際、阪神大震災や新潟県中越沖地震で被災した在日外国人から、「怖いよりも、情報が伝わらず、自分がどうしたらいいのか全く分からずに取り残されている感じがしたと聞いている」と木口さん。
災害時の孤立を防ぐため、木口さんは仲間たちに「地域の人と普段から溝の掃除などを通じてコミュニケーションを図って、仲良くすることが大事だと話している」そうだ。だが、地域とのつながりはまだまだ不十分。
災害時の連絡手段も大きな課題だ。在日外国人も日常の連絡は携帯電話。だが、震災では利用できなくなる可能性が高い。解決策は見えていないが「集合場所を決めておいて、まず家族の安否を確認してから、代表者が集合場所に集まるといったこととか。住んでいる地域ごとに対応を決めておかないといけない」。
ただ、在日外国人だけで解決できる問題ではない。木口さんは「言葉の壁は、日本人が思っているより大きい。災害時に外国人のケアをどうするか、行政もメディアも一緒に考えてほしい」と話している。
0 件のコメント:
コメントを投稿