2011/04/29

「我慢」に沈黙を強いられるニッポン

大震災被災者の方々の自分を律した態度が多くの海外メディアに高く評価されているために、自分の言いたいことが言えないのではないか、と危惧していましたがエコノミストも同じような指摘をしていました。一部を引用します。
JBPress
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世界は日本のストイックな精神を称賛した。だが、そこには心配な面がある。
■我慢の精神の有効性に疑問
我慢強いのが東北の人とはいえ、自制心に富む人々の国で、最も我慢強い被災者は、誰もが認める通り、3月11日に地震と津波に襲われた貧しい東北地方の人々だ。
この地方で最も愛されている詩人、宮沢賢治(1896年生まれ)の一番有名な詩は、「雨ニモマケズ」という一節で始まる。
この詩は、厳しい状況にも文句を言わず耐え忍ぶ美徳を讃えている。宮沢と同じ東北の人々が、本当の我慢強さをこれほど試されたことは滅多になかった。気になるのは、東北の人々が黙って耐える期間が長くなればなるほど、彼らが日本の復活を促す役割を果たさなくなることだ。
この1週間、3つの出来事が、「ガマン」という日本に広く浸透している精神の有効性に疑問を投げ掛けた。
避難者の中には、県外に出ると、給付金や地域社会とのつながりを失ってしまうと感じている人もいる。父親と年長の子供は避難させないが、妊娠した女性と小さな子供は避難させるというような機能不全の政策によって、家族はバラバラになっている。
・・・失意のどん底にあるという話は数えきれないほどある。
■組織立って要求しない地域社会
しかし、日本政府からの財政支援を求める一致団結した地域の圧力がないために、中央政府は目先のことしか考えない野党と国会で小競り合いを繰り広げるという気楽な儀式から抜け出せずにいるように見える。
地元の人々は住宅や働く場所の必要性を口にするが、地域社会はこうした要求を強く訴える体制を組織化していない。
全国紙である朝日新聞の世論調査では、原子力エネルギーに反対する人の割合が2007年の28%から41%に上昇した(最も強硬な反対派は女性)。もっとも、原子力の現状維持を支持する人の割合は53%から51%と、ほとんど低下していない。
だが、こうした抗議運動にもかかわらず、本当の議論が行われてきた形跡はほとんど見られない。
・・日本は正々堂々と意見を述べる新たな声を必要としている。
■我慢し切れなくなったら健全な兆候
首都の建物の間にそびえ立つ鋼鉄製の構造物、東京タワーには「GANBARO NIPPON」というメッセージがライトアップされていた。この言葉は、より良いことがやって来るという希望というよりも、むしろ下を向いて耐えるといった響きがある。
東北の人々は、この言葉に憤りを感じ始めている。今よりもっと我慢することを求めているように聞こえるからだ。彼らがついに我慢し切れなくなっているのだとすれば、それは健全な兆候かもしれない。

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