2013/06/04

移民 : 映画紹介 (少し長めです)



多文化共生に関心ある方またはご本人が海外から来られた方へ。

1)「二つの祖国で」というドキュメンタリー映画。
(東京では少なくとも銀座で1月11日まではやります)

対象が戦時中と戦後の話なので今に引き付けて考えることはそぐわない
のかも知れませんが関心があれば是非。

http://www.cinematoday.jp/movie/T0015848

第二次世界大戦時のMIS(Military Intelligence Service=陸軍情報機関)
の中心的組織であった日系陸軍情報部の活動を描いた作品。
米国籍を持ちながら人種差別を受け、それと戦いながら、一方では父母の
祖国・日本と戦った日系二世。彼らの祖国・米国に忠誠を誓い、終戦後は
日本の再建に尽力した彼らの活動、気持ちを映し出している。

この映画を観て
・(この映画の主目的ではないが)ルーズベルトが真珠湾攻撃を知っていた、
とする説があるが、可能性は大きいのではないか。
 なぜなら1941年12月の真珠湾攻撃の一か月前に二世とKIBEI(帰米?)を
集め徹底的に日本語と英語の訓練を始めていること。また、日本の暗号は
このMISにより解読されていた、ということから。
物量の差は当然だが、それに加え、敵国語である英語を使わせなかったり、
情報の重要さを認識できなかったことでも勝負は見えていた。

・彼らは祖国・米国に忠誠を誓い親兄弟と闘う道を選んだが、祖国は血を
分けた親兄弟に銃を向けるほど優先度は高いのか?

・確かに彼らの貢献は大変なもので、この方たちがいたから終戦が早く来た、
戦後も彼らがいたから復興が早く進んだ、ということは事実であろう。
 しかし、戦時であったからこの日本語の訓練もなされ、優秀な通訳人が
多数生まれた。つまり、この大戦があったから彼らは活躍する場が与えられた。
もし平時であったどうだったのだろう、これほど集中的に勉強をする機会も
なかったでは、そうであったら彼らの運命はどうだったのか。

 この映画で新しく知ることが多くあったし、映画としてはとても良く出来て
いて面白いが、平時に参考にする部分はどこなのだろう、と整理がついていません。
二つの国に生きている人々はどういう感想を持たれるのでしょう。

2)「愛について、ある土曜日の面会室」(既にFacebookには書きました)
ちょっと不思議な題ですね。これも銀座で。

ロシア系の若者、アルジェリアから来た青年とその母、貧困家庭の男性・・・
境遇の悪さが犯罪を引き起こすという、「環境」にその原因を求めることは
すべきではないと思いますが、実際に移民や貧困の実態はかなり厳しいのは事実。
この若い女流の監督はきめ細かくそれぞれの生き方を描き出し、緊張の続く
120分です。
観たものにその先を考えさせる余韻のある終わり方はフランス映画らしいし、
最後に流れるピアノ曲もぴったり。
映画ファンだけでなく移民問題などに関心のある方、是非どうぞ。

http://www.bitters.co.jp/ainituite/introduction.html

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