2011/02/20

ウケた!ニューヨークで人情話 桂七福さんが独演会


徳島市に住む落語家、桂七福さん(46)が今月初め、ニューヨークの寄席で公演した。日本を離れて暮らす人々が落語に求めたのは、懐かしい「日本人らしさ」だった。
今回の公演は、日系人らのグループ「紐育(ニューヨーク)落語会」が七福さんを招いて実現。6日間の滞在中に5公演をこなした。
現地時間の3日夜にニューヨーク日系人会ホールであった「紐育寄席」では、日本企業の駐在員や家族を含む約80人を前に独演した。最初の演目は「犬の目」。目の病気になった男が医者に行き、目玉を犬の目と取り換えられる話だ。「『Why(なぜ)?』という顔をする人が多いんです」。後で聞くと、痛い話や血を連想する話は嫌がられるらしい。
続いて演じた「南京屋政談」は、ダメな若旦那が周りの人に支えられ成長する人情話。「言わんこっちゃない」「いいこと言うねえ」とばかりに、指さしたり、大きくうなずいたり。反応の良さに、1時間を超える長講を演じきった。「落語に入っている日本人らしさが、よく響くんだなあと感じた」。ダンスをやるため19歳で渡米し、10年になるという女性は寄席の後、「こっちに来てから、日本舞踊がかっこいいと思った」と話していた。
日本人学校では、扇子や手ぬぐいを使い、うどんをすすったり、お酒を飲んだりする所作も子どもたちに体験してもらった。「美馬町(現・美馬市)出身です」と懐かしがる保護者もいたという。
紐育落語会の会長でウクレレ芸人の皆本剛さんは「桂福団治師匠の弟子だけあり、良い仕事をしてもらった。子どもたちにも大好評。『また来て』という声が多い」。七福さんも「英語を覚えて、また行きたい」と話している。(水沢健一)
Source: 朝日新聞

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