スイスでの支援の形。またSwissInfoから
・・・・・・
■未曾有の大災害から2カ月が過ぎた。スイスと日本の研究者の間に、新しい動きが起こっている。
「東北地方は、復興の世界的な手本となる可能性を秘めている」
と言うのは、日本の大学に研究員として在籍した経験もあるクロード・パトリック・ジーゲンターラー氏だ。
ザンクトガレン大学の特別教授ジーゲンターラー氏は、震災後の東北地方の持続的な発展に期待を寄せ、学術交流を通じた復興支援を模索している。
■日本人研究者への支援から始動
「わたしたちが東北の復興のために貢献できることは何だろうか」
そう考えたジーゲンターラー氏は、数人の研究者と検討を開始。すぐに着手したのが日本人研究者に対する支援だ。
例えば、震災の影響で器材が壊れるなどして、研究を中断せざるを得なくなった被災地の研究者をスイスに呼び寄せて研究を続行する機会を用意する。あるいは、すでにスイスで研究をしている人の滞在延長を支援することなどを考えたという。
■研究者のネットワーク
両国の今後の共同研究の可能性を探り、研究者のネットワークを構築・促進することになった。
呼びかけに応じ即座に参画を決めたのは、スイス連邦基金 ( SNF/FNS ) のほか、連邦工科大学ローザンヌ校 ( ETHL/EPFL ) 、連邦工科大学チューリヒ校 ( ETHZ/EPFZ ) 、連邦工科大学理事会 ( ETH-Rat/Conseil des EPF ) といったスイスの主要研究機関だ。
■三つの研究分野に重点
一つ目:新たな省エネ木造建築の推進。
ここで開発された最新の壁構成システムを用いることで、屋内の温度・湿度環境を最適に保つことができると同時に、冷暖房をはじめとするエネルギー消費量を約8割削減できるという。こうした新たな工法を応用した住宅が2011年内に滋賀県に完成し、性能実証のための研究がさらに進められる予定だ。
二つ目:「次世代環境都市 ( スマートシティ ) 」計画の支援。スマートシティとは、発電やエネルギー効率の向上、二酸化炭素 ( CO2 ) 排出量の削減などを複合的に組み合わせることで環境負荷を抑える次世代環境都市をいう。交通、情報通信なども含め、街全体の機能最適化を目指す。
復興地のインフラ復旧に関して、電力供給側と需要側の電力情報をITを利用して双方向で制御し、需給バランスを最適化する次世代電力網 ( スマートグリッド ) の導入が議論されている。また、企業などが被災地に省エネ住宅などを提供する動きもあり、前述の木造建築技術など省エネ技術の応用が注目される。
三つ目:原発の安全性や事故後の対処に関する研究の支援
■長期的発展への貢献を
東北の人々が本当に望む支援を行えないのであれば、計画を打ち切ることもあり得るという。
「目的はあくまでも、東北地方の復興に貢献することだ」
ジーゲンターラー氏はまた、現地の将来について、
「東北地方の復興にかかわる人々が、勇気を持って持続可能な社会の構築を目指すなら、5年から10年後には、この地域が日本だけでなく世界的に復興の手本となる可能性もある」
「そのためには、日本の建築技術や高度なノウ・ハウを、被災地が直面している新たな次元の課題に応用する革新性も必要だ。今後基本的なインフラが確立し、再び生活ができるようになれば、地域全体の長期的な経済発展も大いに期待できる」
と言い、また、それが日本と関わりのある自分の願いでもあると語った。」
http://www.swissinfo.ch/jpn/detail/content.html?cid=30277400
0 件のコメント:
コメントを投稿