2011/05/17

復興の役に立てないからといって、あなたの価値が下がったわけではない

http://diamond.jp/articles/-/12286
・・・・・・
■大震災が起こっても、人間のアイデンティティまで問われるわけではない
震災とは一切関係がない仕事をしている人、家庭の主婦は罪悪感を抱いている場合があるが、
「ただ単に、震災のような緊急事態がおこると社会全体のなかでの優先順位が一時的に変わるだけの話です。いま大活躍している自衛隊の人の価値が、いま急に上がったわけでもなければ、主婦の方の価値が急に下がったわけでもありません。人ぞれぞれに、担う役割や、それが必要とされるタイミングが異なるだけです。」
■非常時に表れる反応に一喜一憂してはいけない
物事に対する反応は、人それぞれです。それが健全な社会であり、この大災害を前にしてもそれは変わらないと思います。
地震から2ヵ月が過ぎたいま、夫婦の間で震災に対する捉え方が違ってイライラを募らせるケースが増えているといいます。親子や友人の間でも同じ現象が起こっていて「こんな人は尊敬できない」「もう顔も見たくない」というところまで発展してしまっているといいます。
しかし、人が心の中でどのようなことを考えているかということは、夫婦でも親子でも友人でもわからない場合があります。
震災が原因で離婚問題に発展する夫婦もいるようですが、こうした極端な行動に走るのは、現在が平常な状態ではないからです。普段なら軽く受け流したり笑って済ませられることなのに、寛大になれなくなっているのです。
■「人間は危機に直面したときに本性が出る」はウソ
「いざという時に、その人の本性が出る」という言い方があります。
しかし、私は逆の考え方を持っています。こういう危機的な情況を迎えるのは異常な状態で、異常な事態に直面したときには、その人の本質ではない部分が出てくるというものです。
いつもは何をするにもやる気のない態度を取る問題社員が、地震が起こった瞬間、普段とは違う形相でリーダーシップを発揮したが非常事態が一段落すると、またもとの無気力社員に戻ってしまったそうです。
大地震という異常な状態で表れた行動は、彼の本性だったとはとうてい思えません。異常な状態では、異常な行動をするのが人間というものだと思います。
■高揚していた自分から日常の自分に戻ることは決して悪くない
震災によって、価値観が変わったと主張する人が数多くいましたが、ゴールデンウィークを挟んでこころの落ち着きを取り戻し、震災前の日常に戻った人も多いのではないでしょうか。
むしろ、日常に戻るのが人間として自然な姿です。
あれだけ前向きだった自分はどこにいってしまったのかと失望せず、日常に戻った自分を許す。自分が変われるチャンスだったのに、これほど酷いことが起こっても変われなかったと、自分を追い込まない。元の自分を許すということです。
普通の生活を送っていたビジネスマンが、何か一つのことをきっかけにして180度変わってしまうというのは、やはり危険だと思います。
マイナーチェンジや小さな軌道修正を積み重ね、長い時間をかけて変わるのが人間のあるべき姿だと思います。
震災前の日常に生活を取り戻した人が、いまは復興支援に役立っていないと思えたとしても、決してその人の価値が下がったわけではないのです。

0 件のコメント:

コメントを投稿