ペルーの子どもたちが描いた絵を紹介する空井さん=磯子区の同区民文化センター杉田劇場
絵を通して日本とペルーの間に、懸け橋を築こうと活動している女性がいる。単身訪れたペルーで子どもたちの描く作品に魅了され、帰国後に展覧会を企画。今年も20日間の日程でペルーで両国の子どもの絵画作品を展示するなど、交流の輪が着実に広がっている。
横浜市南区の洋画家、空井(うつい)美和さん(29)が取り組んでいるのは「せかいのこどもたち展」。ペルー、日本両国で子どもたちの絵画約100点を並べている。
絵を通じてなら、両国の文化も分かりやすく理解できるのでは―。そんな着想を得たのは、2008年5月から09年7月のペルー滞在がきっかけだった。空井さんは現地の日系人学校「ヒデヨノグチ学園」で美術講師として勤務。同校で教壇に立つ日系2世、3世が日本の文化になじみがなく、教えるのに苦労する姿を見た。
以前、日本の学校になじめず帰国した在日ペルー人の子どもにも出会っていた。「子どもたちが描く絵は、その土地の日常の暮らしを表現したものばかり。絵を両国で展示することで互いの国を理解するきっかけにしたい」。そう思い立った。
09年8月と10年12月、同市磯子区民文化センター杉田劇場で展覧会を開催。ペルーの駐日大使も会場に足を運び、アマゾン川流域の集落などを描いた絵を懐かしそうに眺め、空井さんらと友好を深めた。
一方、ペルーで開いた展示会では、現地の日系の子どもたちが祖父や曽祖父から耳にしていた餅つきや、たこ揚げの様子を初めて目にし、うれしそうな表情を浮かべた。絵画を通じた交流が実現している。
今年も10日から29日まで、ペルーの首都・リマ市で展覧会を予定。空井さんは「これをきっかけに、両国の橋渡し役になるような子どもが一人でも多く育ってほしい」と願っている。
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