2011/01/23

横浜 /神奈川: 強制収容所の日系人を描く ヘンリー杉本の20作品

◇苦悩の「キャンプ・シーン」--JICA横浜海外移住資料館

 米国の日系人画家、ヘンリー杉本(日本名・杉本譲、1900~1990年)が戦時中に強制収容された日系人の暮らしや苦悩を描いた作品を展示する特別展が22日、JICA横浜海外移住資料館(横浜市中区新港2)で始まった。「キャンプ・シーン」と呼ばれる一連の作品が、出身地の和歌山市以外で展示されるのは80年以来約30年ぶりとなる。3月21日まで。入場無料。【木村健二】
 同資料館によると、ヘンリーは1919年に渡米し、カリフォルニア州の芸術大や美術学校で学んだ。留学先のパリで藤田嗣治と親交を結び、米帰国後は美術展で入賞を重ね、画家としての地歩を築いた。ところが、41年の日米開戦に伴い強制収容所に送られて人生は暗転し、風景画が中心の作風も変わった。
 展示されるのは、ヘンリーが収容所生活の中で描いた油絵など20点。持ち込める荷物は厳しく制限され、わずかな絵筆と絵の具で木綿の布をキャンバスに代用した。収容所内の学校では、美術の教員も務めていた。
 「Farewell サヨナラ御機嫌よう」は、日系2世の米兵が収容所内の家族と面会して別れるシーンに哀切がこもる。一連の作品は、収容所で集団生活を送る日系人たちが輪郭線を引いて描かれ、戦争によって二つの祖国に引き裂かれた日系人の心情がよく伝わってくる。
 一連の作品を所蔵する和歌山市民図書館の中谷智樹司書は「収容所の記録はあまり残っていないが、ヘンリーの作品は芸術性に加え、記録性も高い。戦争中に米国の日系人が被ったことを知るのに最適の資料だ」と話している。
 問い合わせ先は同資料館(045・663・3257)。
Source: 毎日新聞

0 件のコメント:

コメントを投稿