2011/05/28

SwissInfo : スイス政府 段階的な脱原発を決定

すでに報道されていますが「段階的な脱原発を決定」したスイスの話です。
「電気代の大幅な値上がりや電力不足など、経済界や一般家庭に悪影響を与える恐れがある」
というのは日本でも出てきている声ですが、子孫に甚大なる災害をもたらす恐れのあることを避けるには当然のことだと思いますが。
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5月25日、スイス政府は今後新しい原発の建設を行わない方針を明らかにした。しかし、現存の原発5基の即時停止はなく、すべての原発は寿命を迎えるまで稼働を続ける。
原発の寿命を50年とすると、最初に寿命を迎えるのはベツナウ ( Beznau ) 第1原発で2019年。
・・・・最後に2034年アールガウ州のライプシュタット ( Leibstadt ) 原発が廃止される見込み。
■歴史に残る日
ドリス・ロイタルト環境・エネルギー相:
「スイスの未来の電力供給に関する根本的な決定を下すに当たり、内閣閣僚はおよそ4時間協議した。そして、スイス政府から明確なシグナルを送る必要があるという結論に達した。そういう意味で、今日は歴史に残る日だ」

■分かれる意見
・中道の急進民主党 ( FDP/PLR ) :現世代原発の建設差し止めは歓迎するものの、新しい原子力技術まで完全にシャットアウトすることに疑問を投げかける。そのため、10年後に未来のエネルギー政策について国民の意思を問うよう提案
・中道右派の国民党 ( SVP/UDC ) はスイス政府の決定に大きく反発:
「電気代の大幅な値上がりや電力不足など、経済界や一般家庭に悪影響を与える恐れがある」
・ロイタルト・エネルギー相が在籍するキリスト教民主党 ( CVP/PDC ) は
「我が国、我が子どもたち、そして持続的なエネルギー政策にとって有益な、勇気ある決断だ」
と政府に謝意を表す。
・社会民主党 ( SP/PS ) および緑の党 ( GPS/Les Verts ) も政府の決定を歓迎しているが、ミューレベルク原発とベツナウ原発を即時停止とせず、全面廃止まで時間がかかり過ぎだと批判している。

■産業界など
・経済連合エコノミースイス :「原子力発電に代わる電力をいつどのように確保するか、現時点では分かっていない。いい加減で矛盾した、無責任な決定」とスイス政府を厳しく批判している。
・電力企業協会 ( VSE/AES ) も懸念を表明
・クリーンテクノロジーの推進団体クリーンテック・スイス ( Cleantech Switzerland ):
「脱原発を取り決めることで、持続可能で競争力のある経済体に欠かせない大枠の条件が整った」
■全体的に肯定的な各紙の反応
翌26日のスイス各紙の反応は、「歴史に残る日」「勇気ある決断」「理性的で首尾一貫している」「スイスの未来に大きなチャンス」など全体的に肯定的なものだった。しかし、度を越しており、楽観視し過ぎだと警告する声も多い。
・電気代の大幅値上げなど、この決定が与える影響は多大であり、「無数の未知を抱えた戦略」と表現する。
・政府の決定は力強く、明白な態度を表していると評しながらも「今日その4割を原発が賄っている電力供給を確保するために、中期的に新しい資源を見つけなければならないことは誰もが承知済みだ」 
・「世界中があきらめムードで、真の時限爆弾といえる技術にしがみついている中、スイス政府は原発の新築を却下し、段階的な脱原発を提案した」
・この脱原発政策の先行きはまだ不透明。政府の決定は単なるシグナルであり、「最終的な決定権を持つのは連邦議会と国民」
・「政府は確実だったスイスのエネルギー戦略を葬り去った」「リスク、そして危機に陥る可能性について客観的な議論が行われなかったことが残念だ。脱原発はただでは行えない。また、その影響を受け入れる覚悟のある人が多数を占めるのかどうかも疑問だ。ここには不確かなエネルギー政策の残存リスクが存在する」
http://www.swissinfo.ch/jpn/detail/content.html?cid=30325724

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