2011/05/17

OECD 家族の福祉に関する報告書発表



かなり前の発表になりますが、OECDのページに
 
「家族の福祉に関する報告書」が発表されていました。

少し長いですが: 
■日本について:低い出生率と限られた女性の雇用
「日本の親は仕事と家庭の両立に悩んでいる。職場の慣習や、住宅・塾などの費用、更には社会規範が若い世代に負担をかけている。結果として、晩婚化や、高齢出産、少子化が進んでいる。
2009年には日本より出生率が低い国はOECD諸国内では4カ国しかなかった。 
日本の出生率:OECD諸国の平均1.74を下回る1.37で最低水準の国に属している。
日本の育児や保育に対する公共支出はOECD諸国の中で4番目に低く、施設や制度を拡充する余地は充分にある。 
保育施設への入園率は3歳以下の子供で28%と、上昇しつつあるものの、それでもOECD平均の31%を下回る。
保育施設への入園率はOECD 平均を下回り、幼児を持つ母親の就労は少ない
労働時間が長いために日本の男性(一日59分)が家事に参画する時間はOECD(平均で一日138分)中で最短であり、また、育児への参加も限られている。」


■全体の話:
 
「社会の最貧層といえば年金生活者が多かった過去数十年と比べ、現在は子どものいる家族の方が貧困に陥りやすい。
貧困家庭で暮らす子どもの割合はこの10年、多くの国で上昇しており、OECD全体では12.7%に達しています。
イスラエル、メキシコ、トルコ、米国、ポーランドでは、子どもの5人にひとりが貧困の中にあります。
(OECDでは、世帯者数調整後所得中央値の半分に満たない世帯の世帯者を貧困者と定義)。
報告書によると、OECD諸国の家族の状況はほんの一世代で急激に変化しました。
女性1人当たりが産む子どもの数はここ30年で2.2人から1.7人に低下し、家族の成員数は減少しています。
婚姻数が減る一方、離婚率は上昇しています。
女性はこれまで以上に高学歴となり、男性を上回る勢いです。
現在、35歳以下の女性の3分の1以上が大学卒業の学歴を有しています(20年前は20%強)。
ほぼ各国で、働き手がひとりの世帯よりも共働き世帯が多くなっています。
OECD諸国の女性の雇用はここ15年で10%ポイント上昇し、有職女性の比率は90年代中盤の半分強から2009年にはほぼ60%となりました。
女性の雇用拡大は人口高齢化問題の対策にも寄与しますが、男性が家事・育児により積極的に参加しない限り、実現は難しいでしょう(女性の家事労働の時間は男性を平均2時間半上回る)。父親が休暇の大半を消化しているアイスランドでさえ、育児休暇の取得は本来の日数の3分の1にとどまっています。
OECDの各国政府への勧告

・保育料の支援を含め、父親も育児休暇を確実に取得できるようにする。
・幼児を抱える親に休暇、保育サービス、職場の支援を総合的に組み合わせることで、家族が仕事と育児を両立できるようにする。
・より多くの父親が休暇を取得あるいは分かち合い、家庭での責任をより全うできるような育児休暇制度を設計する。
・乳幼児期は家族政策への投資から始め、子ども時代を通じて投資を維持する。
・特に貧困家庭の子どもについて、高品質の保育サービスを認知発達の改善と結びつける。 
 

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