2012/06/11

教育 : New Education Expo2012




先週末に東京・有明で開催されていたNew Education Expoというものを覗いてきました。
全国から先生方、業者が集まるもので大変に規模の大きい見本市で、ほんの一部しか観ることが出来ませんでした、それでは感想など述べる資格はないと思いつつ、昼休みに少し考えてみました。

今回(だけか分かりませんが)殆どすべてのブースには大きな液晶パネルがあり、「教育クラウド」「デジタル教科書」に対応するようなものが幅をきかせていました。
中心にあったのは
ITC(Information and Communication Technology)。

デジタル教科書はとてもきれいではあるものの(当然自分のところの教科書を
売るためであるから仕方がないが)教科書を拡大し、その所に書き込みができ、
写真だけ別個に投影が出来・・・。場合によってはビデオに繋がったり・・。
と楽しそうですが、紙が大画面になっただけ・・・のように思えた。
もちろん著作権者との関係があるとはいえ、もし文科省が本当にこの方向を
考えさせるのであるなら、これまでの教科書を単に画面にだして・・という
発想そのものを変えねば何のためにやるのか分からない。

デジタル教科書の目的は?

1)これにより子どもたちの何が伸びるのだろう。余裕が出来て指導要領の内容
が増える?変わる?
知識ではなく物事の本質が学びやすくなるのだろうか。
今まで理解ができにくかった子どもたちが理解しやすくなるのか?

2)また、ビデオや写真など鮮やかでとてもきれいだが、何もかも見せるのが教育
ではないのではないか。(きっと専門家が認知心理学者の方々とやってはいるので
その見せ方などは研究されているとは了解しますが・・。)
幼い時から地球を見せるのではなく、自分の隣を考え、曲がり角の向こうを思い、
それから、さらにその先を考え、海の向こうはどうなっているのかな・・と
段階的に概念を形成させることが重要なのではないかな、と思いますが。

3)教師の力はどうなるのか
今回、有名な国立の付属小学校の生徒さんを対象とした公開授業がデジタル教科書を
使ってやられましたが、感想は「今までのやり方で何が悪い?これで何が進むのか。」
だったのと、教師の発問が陳腐で聞いていられなかった。
機械に頼ると教師の力は反比例か・・。(一回だけでの感想は不公平ですのでこれからも
機会あるごとに観させて頂きます。)

4)先日の「障がいのある学生の修学支援に関する検討会」でも話題になりましたが
障害者への支援の一つとしてITCをもっと積極的に取り上げるべきなのではと思い
ました。
本来なら、視力が落ちている子に対するメガネや足の悪い子に対する車いすのように
障害のある子供たちに対するテクニカルエイドになるべきだと思いましたが、殆ど
それらしいものは見当たりませんでした(どこかにあったかも知れませんが大きな
会場で目に入りませんでした。)。
逆にある教科書会社がデジタル教科書で使えるマーカーの色が赤や緑であったので
「CUD(カラー・ユニバーサル・デザイン)は考えているのか?色弱の子どもたちへの
配慮は?」と訊いたが「全く見当していない。あるのは白黒反転のみ」との回答。

・・・・・・・・・・・

業者と技術大好き先生に振り回されることの無いように。
また、業者には「合理的配慮」を!



CUD(カラーユニバーサルデザイン)についてはご存知かと思いますが念のため

http://www.youtube.com/watch?v=dUiP0T881t0


厚生労働省の方とのやり取りで思いついたことを追加します。

デジタル教科書を作っている教科書会社は異口同音に
「著作権者との関係から電子黒板のみでの使用、最大でも、学校内での使用で、
学外での使用は考えられない」
と言っています。つまり、学校に行けない子供は利用できない。

ということは、今の教科書をベースにしたシステムで縛られるのではなく、日本中
で使える電子教科書を作れば済む話です。そうすれば在宅で勉強をせざるを得ない
障害のある人たち、引きこもってしまった人、フリースクールや外国人学校でも
使えるし。

教科書会社との関係から文科省は簡単にはその方向へは行かないでしょうが、
この方向へ進んでいますでしょうか?
これにはコペルニクス的な発想の転換が必要ですが、それが感じられない
見本市でした。
(どこかにあったのかも知れませんが目にすることはありませんでした。)



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