2011/02/02

不法移民急増を警戒する欧州


【ロンドン=木村正人】欧州は地中海を挟んで対岸にある北アフリカ・中東をイスラム過激派のテロとアフリカからの不法移民の防波堤とみなし、独裁政権を支援してきた。チュニジアやエジプトで相次ぐ民主化の動きを表面上は支持しているものの、親欧米政権の崩壊でテロや不法移民対策に影響が出るのを警戒している。
 メルケル独首相が1日、「エジプトのムバラク大統領の平和への貢献に敬意を表してきたが、問題があるのは明らかだ。平和的な移行を望む」と述べるなど、欧州は米国と歩調を合わせ、野党も含めた移行政府の樹立を期待している。
 欧州連合(EU)によると、フランスやドイツ、英国など加盟18カ国が2008年にエジプトに武器を輸出しており、総額は7500万ユーロ(約84億4千万円)だった。EUとしては今後2年間で4億4900万ユーロ(約505億3千万円)の民生援助を行う予定だ。
 EUがエジプトを重視してきた理由は、中東和平交渉やイランの核・ミサイル開発問題での協力を期待していることに加え、イスラム過激派が欧州に流入する防波堤の役割をエジプトが担ってきたことにある。

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