2011/01/04

木下恵介監督:知られざる脚本 戦時の日系移民テーマに

木下恵介さん

映画「二十四の瞳」などで知られる木下恵介監督(1912~98)が連合国軍総司令部(GHQ)占領下の1950年に製作しようとして果たせなかった映画の脚本の写しが、国立国会図書館に保管されていることが分かった。太平洋戦争に翻弄(ほんろう)される日系移民を取り上げた内容で、脚本の存在自体ほとんど知られていない。当時はGHQによる厳しい検閲があり、製作が許可されなかった可能性があるとみられる。

 脚本は占領期に文化政策を担当したGHQの民間情報教育局(CIE)の文書として米国立公文書館が保管。各ページを撮影したマイクロフィルムが82年に国立国会図書館に収蔵されたが、そのまま埋もれていた。

 作品は、ハワイに移住した日系1世と現地生まれの2世の親子が日米のはざまで揺れ動く姿などを描いている。あらすじを含めて4編あり、加筆修正を重ねたとみられる。

 題名は「日系市民の母」や「二世部隊」などと記され、監督の欄には木下監督の名があり、脚本の欄には木下監督と著名脚本家だった久板(ひさいた)栄二郎氏(1898~1976)の名前がある。所属していた映画会社「松竹」が50年3月に製作許可をCIEに求めた文書も添付されている。

 一方、この映画に関する資料は松竹にも残っておらず、脚本の存在も知られていなかった。監督の弟で映画音楽などの作曲家、木下忠司さん(94)は「そんな作品を企画していたなんて聞いたこともない」と驚く。木下監督の資料を探って伝記を書いた作家の長部(おさべ)日出雄さん(76)も「企画倒れになったとは把握しているが、理由は分からない」と話す。
LINK : 毎日新聞


マイクロフィルム化され、国会図書館に保存されている木下監督の非公開作の脚本

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